革と向き合う

今日は、おうちで大人しく製作。


店置きさせてもらっているお店で、革小物が数点売れたそうなので、追加で製作。
あとは、革小物のお直し依頼で預かっているものを、縫い直し。


私は、布も革も、いじります。
革は、布と違っていろいろ大変。
まず、値段が違う。


革は、計り売りは基本ありません。
半裁といって、牛の半頭分を購入します。
で、その単位は10×10cm=1デシといい、面積×1デシの金額で価格が決まります。
まあまあな革で、1デシ40円〜50円くらいでしょうか。
なので、半裁で10,000円を超えてくることも多々。
で、大きめのトートを作ろうものなら、1点〜、1.5点くらいしか裁断できません。
革は、汚れや傷もあるし、牛の足回りの革は薄くて柔らかすぎるので、ほぼ使えません。
となると、1点分の材料費だけで軽く10,000円を超えるんですわー。
なので、本革製品が高いのはまずはこれが理由。


作るときも大変。
私は作業1つ1つに、基本息を止めてます(笑)
上記のように高い材料なので、裁断だって失敗したら10,000円飛びますからね(笑)
裁断は、革包丁やカッターを使います。
そして、革の厚みや硬さによっては、結構力がいるんです。
集中していないと、指、切ります。
そして、革は厚みがあるので、包丁を垂直にして切らないと、斜めに裁断していまうので、その辺も気を使うところ。


裁断が終わったら、縫いしろが内側に入るタイプの作品の場合、縫いしろ部分を漉きます。
っていうのは、布と違い、革は厚みがあるので、そのままだと縫いしろ部分が分厚くなってしまうんです。
なので、大体0.5mmとか、0.3mmとか、まで革を漉き(削り)ます。
本当はノギスやシックネスゲージなどで、厚みを図りながら、なのですが、私、目検討です(笑)
買わなきゃなんですよねー。
で、漉きですが、我が家には革漉き機くんがいるので、そいつに頼みます。
ま、我が家には工業用の機械が2台、どーんといるというわけですね。
それ以外に、布用のミシンとロックミシンなどもいらっしゃるので、機械だらけです。
革漉き機、実はすごく怖くてですね。
歯が鋭いので、下手すると指を切ってしまうどころの話じゃなくなってしまう...
なので、ここでも息を止めながら。


そのあとは床面といいますが、ま、裏面のことですね。
ここがボロボロな革が多いので、裏地を貼らない場合は、ここにふのりなど、ボロボロするのを止める仕上剤のようなものを一面に塗ります。


さて、次は縫い。
布のようにピン打ちもできなければ、しつけもできない。
しかし!縫い間違ったら、ここでも替えがきかない。
革に針の跡がついてしまうんですよ。
なので、1発勝負!
では、ズレずに縫い合わせるために使うのが、専用の両面テープや、接着剤。
この接着剤も、ボンドなどとは違い、貼りあわせる両面に接着剤を塗ります。
で、この接着剤は、乾いてから貼りあわせる。
ボンドなんかよりも、強力です。


これで、やっと縫いに入れる。
ミシンも、息を止めながら縫います。
私はまだまだ腕が足りないので、1針1針見ながら縫います。
小物やバックは、洋服と違ってさほど長い距離を縫わないので、ダーッと縫うことはありません。
ベテラン職人さんなんかはダーッと縫ってしまうのでしょうが…


で、縫い終わったら、糸を切った後にライターで糸の端をあぶります。
糸はポリ100%なので、あぶると縮んで、糸が締まって留まるんです。
そしたら今度は、革のコバといって、厚みの部分ですね、そこを仕上剤をつけて磨きます。
これをしないと、端がキタナいんですねー。



以上が、大まかな流れ、かなー。
これに、金具がついたり、かしめで止めたり、とかでまた使う道具も多々あります。


そして、最後に布と違う点。
革を扱うのは、「さわがしい!」
ってこと。
ま、機械は、一応音が静かなモーターなどにしてはいるのですが、布用のものよりは馬力が桁違いな分(ベニヤ板も縫えるって言われています)うるさいですし、
かしめやはと目を使うことも多いのですが、彼らを使う際には木槌でたたくので、うるさいです。
以前住んでた部屋では、1回木槌でたたくごとにアパート自体が揺れました(笑)
今は、試行錯誤の結果、ハンズで手に入れた大きな丸太の切り株の上に、バスタオルを畳んでのせ、その上にゴム板をのせたものを持って、ロフトに上がって、ロフトで木槌を振り下ろします。
これが、一番消音なんです。


と、まぁ、革を扱うのは大変っていう話、ですが。


布の作品を作っている時も集中しますが、革と向き合う時の集中力は全くの別物。
緊張感がハンパないです(笑)
冬場だって、汗だくになりますから。
扱うって言うよりも、向き合うってカンジの方が強い気がします。
でも、今日久々にいじってみて、やっぱり革もスキですね♪